源泉かけ流しと循環ろ過の違い|宿の掲示の読み方

目次
  1. 2つの方式の違い
  2. 掲示で分かる5つのこと
  3. 予約前に確認する方法
  4. 「人工温泉」は温泉ではない
  5. ひとり温泉の宿選びでの優先順位
  6. まとめ

宿を探していると「源泉かけ流し」という言葉をよく見かけます。 良いもののように書かれていますが、では「循環ろ過」の宿は避けるべきなのかというと、そう単純ではありません。

この記事では、2つの方式の違いと、宿に掲示されている内容の読み方を整理します。 結論から言うと、**ひとり温泉の宿選びでは、かけ流しかどうかは「決め手」ではなく「同点のときの判断材料」**くらいに考えるのがちょうどいい位置づけです。

かけ流し
湧いた湯を注ぎ、あふれた分は流す
循環ろ過
浴槽の湯をろ過して戻す
確認する場所
浴場入口・脱衣所の掲示

2つの方式の違い

項目源泉かけ流し循環ろ過
湯の流れ注いだ湯があふれて出ていく浴槽の湯をろ過装置に通して戻す
湯の新鮮さ常に新しい湯が入る湯を繰り返し使う
必要な湯の量浴槽の大きさに見合う湯量が要る少ない湯量でも大きな浴槽を満たせる
衛生管理湯が入れ替わることで保つろ過と消毒で保つ

かけ流しにするには、浴槽の大きさに見合うだけの湯が湧いている必要があります。 湯量に対して浴槽が大きい場合や、大勢が入る大浴場では、循環ろ過のほうが湯を清潔に保ちやすくなります。

つまり循環ろ過は手抜きではなく、湯量と浴槽の大きさに合わせた方式です。 環境省も、利用者向けの案内で「循環ろ過方式」と「源泉かけ流し方式」はどちらが優れているとは一概には言えないとしています。入浴時の状態は、新しい湯の供給量・利用者の数・衛生管理によって変わるためです。 逆に言えば、浴槽が小さい宿ほど、少ない湯量でもかけ流しにしやすいということでもあります。

掲示で分かる5つのこと

2005年5月から、温泉を浴用に使う施設は、次のことを行っている場合にその旨と理由を掲示することが温泉法で求められています(環境省の資料)。

掲示の項目意味よくある理由
加水湯に水を足している源泉の温度が高すぎる、成分が強すぎる
加温湯を温めている源泉の温度が低い
循環ろ過湯をろ過して再利用している湯量が浴槽に対して足りない
入浴剤の添加入浴剤を入れている(ゆず・しょうぶ湯のように見て分かるものは除く)色や香りを付ける
消毒塩素などで消毒している衛生管理のため

温泉の掲示には、このほかに泉質や適応症・禁忌症も書かれています。泉質の読み方は泉質の選び方にまとめています。

予約前に確認する方法

掲示を見られるのは現地に着いてからですが、予約前でもある程度は分かります。

  1. 宿の公式サイトの温泉紹介を見る

    かけ流しの宿は、たいてい公式サイトで大きく打ち出しています。 「源泉かけ流し」とだけ書いてある場合は、加水・加温の有無まで書いてあるかも見ておきます。

  2. 予約サイトの温泉情報を見る

    予約サイトには、泉質や温泉の種類を載せる欄があることがあります。 露天風呂・大浴場ごとに方式が違う宿もあるので、どの風呂の話かも確認します。

  3. 分からなければ気にしすぎない

    書いていないからといって質が低いわけではありません。 ほかの条件(一人泊のしやすさ、食事の形式、駅からの距離)で決めて構いません。

「人工温泉」は温泉ではない

かけ流しか循環かとは別に、注意しておきたい表記がひとつあります。人工温泉です。

温泉法でいう温泉は、地中から湧き出る湯で、温度が25℃以上であるか、定められた成分を一定量以上含むものを指します。 人工温泉は、鉱石や成分を使って温泉に似せた湯をつくったもので、温泉法上の温泉ではありません。

人工温泉が悪いわけではありませんが、温泉に入りに行くつもりで予約すると期待とずれます。 ふら旅では、温泉旅を提案する以上、予約サイトの浴場情報に「人工温泉」とある宿は、ほかの条件が良くても提案の候補に入れていません。

ひとり温泉の宿選びでの優先順位

一人旅で温泉宿を選ぶときに効くのは、次の順番です。

優先度条件理由
高一人泊のプランがあるか泊まれなければ始まらない
高夕食の形式一人での居心地に直結する
中駅からの距離・送迎移動の疲れが滞在に響く
中天然温泉かどうか人工温泉では目的とずれる
低かけ流しかどうか同点のときの判断材料

条件が同じくらいの宿で迷ったときに、かけ流しのほうを選ぶ。それくらいの使い方で十分です。 宿の選び方全体はひとり温泉の宿の選び方にまとめています。

まとめ

  • かけ流しは湯を流し続ける方式、循環ろ過は湯をろ過して戻す方式
  • 循環ろ過は湯量と浴槽の大きさに合わせた方式で、避ける必要はない
  • 「源泉かけ流し」の表記には幅がある。掲示の加水・加温・循環の欄で確かめる
  • 加水・加温・循環・入浴剤・消毒は、行っていれば理由と一緒に掲示されている
  • 人工温泉は温泉法上の温泉ではない。温泉目的なら避ける
  • 宿選びでは、かけ流しかどうかは同点のときの判断材料くらいでいい

現地に着いたら、湯に入る前に脱衣所の掲示を一度読んでみてください。 入り方そのものは大浴場の入り方とタオルの使い方にまとめています。

よくある質問

源泉かけ流しと循環ろ過は何が違いますか?

源泉かけ流しは、湧いた湯を浴槽に注ぎ、あふれた湯をそのまま流す方式です。循環ろ過は、浴槽の湯をろ過装置に通して再び浴槽に戻す方式です。どちらも温泉であることに変わりはなく、湯の量や温度、衛生管理の都合で使い分けられています。

循環ろ過の温泉は避けたほうがいいですか?

避ける必要はありません。大きな浴槽を清潔に保つための方式で、衛生管理のために消毒も行われます。湯の新鮮さを重視するならかけ流しを選ぶ、という程度の優先順位で十分です。

加水・加温・循環をしているかはどこで分かりますか?

浴場の入口や脱衣所の掲示で分かります。温泉法により、加水・加温・循環・入浴剤の添加・消毒を行っている場合は、その旨と理由を掲示することになっています。予約前なら宿の公式サイトや予約サイトの温泉情報で確認できることがあります。